農政部長 中 村 倫 一
農業政策課長 高 田 幸 生
農業技術課長 久保田 純 司
園芸畜産課長 北 原 富 裕
参事兼
農地整備課長 秦 久 昭
農村振興課長 鈴 木 秀 行
農産物マーケティング室長 赤 羽 昭 彦
●
付託事件
3月7日に同じ
●会議に付した事件
3月7日に同じ
●
開議時刻 午前10時29分
●
金子ゆかり 委員長 開会を宣した。
▲
日程宣告
農政部関係の審査
▲
議題宣告(
農政部関係)
付託事件及び
所管事務一般を一括して議題とし、委員の
質疑等発言を許可した。
◆
小林伸陽 委員 どうもおはようございます。それでは、
TPPの問題について、若干、
お尋ねをいたします。先日、
TPP交渉参加断固
阻止緊急長野県民集会というところに参加をしてまいりました。ほとんどの
関係国会議員が参加もされておりました。こうした中で、既に先輩の議員の
皆さんも質問されておりましたけれども、長野県農業がこの
TPPに参加することによって、どのような影響を想定をしているかという質問も、前回もさせていただきましたけれども。とりわけ農業を実際につかさどり、その中心的な役割を担っている
JAグループの
皆さんは、
大変脅威に感じながら、これで本当に農業がやっていけるのかという
危機感の集会になったわけであります。
そういう中で、先日、部長の答弁の中では、もしそういう状況になっても、断固、長野県農業を守る施策を貫いて頑張っていきたいという答弁もされておりました。しかし、中身が
十分開示がされないまま交渉が進んでいくという中で、長野県農業だけではなくて、
日本農業から見て、
TPPによって全ての障壁を撤廃するという事態になって、果たして
日本農業が守れるのかどうかというあたりの見解をもう一度
お尋ねしたいと思います。
◎
中村倫一
農政部長 おはようございます。それぞれ
農業関係の
皆さん方は、
JAグループの
皆さん方もそうでございますけれども、そうでない
皆様方や我々も含めて、これまでの経緯については、県としても十分な議論をした上で、国民的な議論をした上で慎重な判断をということで、知事からも国にもいろいろな働きかけをさせていただいた経過もございますし、
生産者団体、そしてまた
農業団体の
皆様方も、こちらのほうは断固阻止ということを基本にした
訴えかけをなさって
おいでになっている中で、ここへ来まして、政府から早い時期にと、交渉に参加する方向を検討しているんだということがあるわけでございまして。この動きについて、
農業関係の
皆様方が、ある意味、憤りをあらわしながら御心配なさっているというのは、重々私どもも理解ができるところでございますし、長いこと、農政を担当させていただいた私や、それからここにおります
理事者ともに、重なる思いも多々あるわけでございます。
金曜日までの
委員会の中での御質問の中にもありましたときに
お答えをしましたけれども、私どもとすれば、
皆さん方の御心配が、過去にありました輸入の
自由化や市場の開放という経験をされて、特に中
山間地域などで農業で頑張って
おいでになる
皆様方からすれば、また大きな波にのみ込まれるような目に遭うのかという思いもあるのは重々感じるところでございますので、これは、県だけが行えることではありませんけれども、国に対しましても、一定の
方向性や品目を限定した開放、あるいは品目を限定して、それ以外のものの
関税化が行われた場合には、それに見合った形の施策の構築も要請をしながら、長野県の農業が後退しないように努めていきたいと思っています。
今までの
一般論として、一昨年、その前ぐらいも、
市場開放という形になってきますと、最も打撃の大きいのは日本の米と
畜産業だと申し上げてきた経過もありますし、私も別の立場でそういった趣旨の、想定される被害として申し上げてまいりました。これから具体的にどんな品目を
センシティブ品目として国が調整に入るのかは明らかにされておりませんけれども、ほかのものが全部ということになりますと、米だとか、畜産ということだけでなくて、我が県の主要な産物になっております
園芸作物などについても、間接的に影響があるかもしれませんし、実はいろいろな
関税制度の中では、
園芸品目についてもまだ若干の関税が残っているわけでございまして、こうしたものなどが撤廃されると直接的な影響も考えられるわけでございますので、米、畜産ということに限らず、必要な対応については、国へもまず要求をし、必要な施策を講じていただくとともに、中
山間地域を抱えている長野県としてはそちらの対策、そしてまた
農村生活あるいは
農村社会そのものに間接的に発生してくるかもしれない影響についても、
農業生産とか経営という問題以外の問題になってくる
可能性もございますので、広く対策については要請をし、県としても努力をしてまいりたいと思っております。
お尋ねの自信があるのかという趣旨に近い
お尋ねがあったわけでございますけれども、現時点においては、政府が、
殊さら、アメリカを中心とする諸国と、どういったスタンスで何を
センシティブとして国益にかなうということで交渉を開始しようとしているのかと、
品目別なことについては、報道では幾つか、米麦、乳肉、そしてまた砂糖ということが言われておりますけれども、これはわからないわけでございますので、この場で具体的にこれをこうするということはなかなか、私どもも、今、影響がはっきりと見えない状態でございますので、心意気といいますか、構えと意思だけの
お答えにさせていただかざるを得ないことをお許しをいただきたいと思います。
◆
小林伸陽 委員 国に対してその中身についても要請をして開示を求めてきているんですが、交渉の具体的な中身になると、これは明らかにしないというのが全体のルールといいますかね。ですから、終わってみないとわからないというのが実態ではないかと思わざるを得ないわけですが。そういう中で、県として、私は政府にさまざまなアプローチをして、どういう影響が生まれるのかということ、中身はどういう中身なのかということも開示を求める、そういうことをやってきているんですが。それは大変私も大事なことだと思いますし、大いにやっていただきたいし、ただその中で、全く県の心配していることや農家の
皆さんの心配していることに、何ら開示、回答がないという状況は、私は許せないことだと。ですから、そういうときには、やっぱり明確に反対せざるを得ないと、明らかにされるということになればそれなりに検討もできるんですが、そういうものが全く開示されていかないということにはやっぱり強い抗議と、私は
参加そのものに反対せざるを得ないというふうに思うわけです。
そういう点で、ぜひ、本当に多くの
皆さんが大変な心配をして、反対の集会も
全国各地で行われておりますし、ましてやその議論をする
国会議員の多数が反対をすると。この前の集会にも、自民党も、それぞれの政党、ほとんどが参加をして、これで国会で議論をしているのかなと思うような光景が、今、全国で起きているわけですね。このことをしっかり国にも伝えながら、県の確固とした態度をぜひ貫いていただきたいことを強く要請をしておきたいと思います。
次に、県のさまざまな文書の中で、最近、大変、
横文字といいますか、
カタカナ語が大変多くなっていることに、ちょっと
違和感といいますか、私も年のせいなのか、なかなかそういうものにこうついていけないというふうに思っているんですが。例えば
マーケティング戦略プランの中を見ても、3分の1ぐらいがもう
カタカナ文字になっていると。これ、農業をしている
人たちは、現状では私より上の方がほとんどなんですよね。私でもちょっと
違和感を感じているんですが、現場へ行ってこれを見せると、一体これ何のことか、私には全然わからないよという話で、ついに室長まで
カタカナになってきたと。そのうちに
アグリ部長になるんじゃないかと、部長までそういう名称に変わるんじゃないかという話が出ているんですが。こういう文書を取り入れる、何か規定といいますか、いや、この文書はもうそろそろ
一般用語になったから使いましょうとか、漢字なんかそういう検討をして新たに追加するとかということをやっているんですが。この県の
農政部でつくっている文書の中で、そういう研究する、具体的に取り入れるのに検討するとか、そうじゃなくて個人的に判断をしてどんどん入れていくというふうになっているのか、その辺はいかがなものでしょうか。
◎
高田幸生 農業政策課長 小林委員さん御指摘のように、確かに
カタカナ用語、
横文字がふえているというのは、私自身もそのように感じております。一般的に、その言葉が
社会一般に既に広がっているものについては、改めて説明をする必要はないかなと思いますけれども。例えばその新しい言葉でありますとか、あるいは
農業関係の分野に特徴のある、独特の言葉でありますと、一般的に理解していただくときには、やはりそれに解説をつけるとか、あるいはできるだけほかの語に置きかえられるものは置きかえていくというふうに考えております。それで例えば、今回、策定いたしました食と
農業農村振興計画におきましても、
横文字を含めて内容が難しいと思われる言葉については、後ろに用語の
解説等を載せさせていただきまして、できるだけ多くの方に理解をいただくようには努力をしているつもりでございます。できるだけ、その用語が何を言っているのか、すぐにわからない、あるいは一般的ではないというものは、避けるようには努めているところでございます。
◆
小林伸陽 委員
用語解説をつけなければならないという文書というのは、私はまだ一般的になじみがないことだと思うんですよね。部内で活用するものだとか、専門的な
人たちが検討する部分ではいいと思うんだけれども。70、80という
皆さんに徹底をしていこうという方針にしては、私はあまりにも難し過ぎるのではないかと。わざわざ
用語解説までつけなければ、読んでいって、また用語を探してまた読まなければならないという、こういう文書のつくり方というのは非常に
違和感があるんですよね。ですから、その文書を、用語を取り入れる上で、一定の検討をする機関というか、というものぐらいはつくって、これはまだちょっと早いよとか、これはもう一般通念的にも理解されるだろうとかということを、もうちょっと丁寧に判断して出すということが私は必要だと思うんですが。そういう規定や検討して入れていくという状況というのはあるんでしょうか。
◎
高田幸生 農業政策課長 正式にこういうものは使わないとか、そういうことは特にないんですけれども。やはり
計画等、文書を検討していく中では、
担当部局、セクションを中心に、これが一般的なものであるかどうかということは検討させていただいております。委員御指摘のとおりの部分があるんですけれども、ただ、ある用語を使うことで、その言葉が意味する内容を端的に短く表現することによって、文書が簡潔になるという意味合いも逆にございます。委員さん御指摘のところであります、乱用というか、あまりにも多様な対応をすることで多くの方の理解が得られないというのは、よろしいことではないと思いますので、これは不断の努力が必要かと思いますので、引き続きその表現ですとか、使い方、あるいは使う、使わないという判断については、検討させていただきたいというふうに思っております。
◆
小林伸陽 委員 ぜひ検討していただいて、若者に徹底する部分は、逆にそういうもの、表現が共通する部分というのはたくさんあると思うんですよね。だからそれぞれの立場に応じたものにしていくということが、私は必要ではないかと思いますので、今後、ぜひ慎重に、言葉の大切さといいますか、日本の風土に本当に合ったものにしていくことを強く要望しておきたいと思います。
次に農業で夢をかなえる
支援事業、また
新規就農里親支援事業で、こういう部分で一定の
予算化がされてきて、
新規就農者の目標として250人確保しようという設定がされて、大変努力されているんですが。この事業で250人の目標を達成するのに、1人当たりにするとどのくらいの費用になるんでしょうか。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 委員会資料でも御説明させていただいたんですが、入り口の
就農相談のところから経営の安定のところまでということで、かなり重く重点的に支援をしているところでございます。国の
青年就農給付金等の事業もございますので、そういう観点で割り返したことはないので、すぐには数字的に出てこないんですけれども。国の
就農給付金だけでも年間150万円ございますので、単年で見てもかなりの額にはなると思います。
◆
小林伸陽 委員 農業で夢をかなえる
支援事業でも6億6,000万円ぐらいですよね。250人を目標にされていると、相当の規模の予算をつけてやっているわけなんですが。私、前から一貫して求めているのは、
新規就農者も大変大事で、
新規就農者がいなかったら今後の農業というのは成り立っていかないだろうという思いもあるんですが、現在、農業をやっている人の子弟の
農業後継者というのをつくるというのが、大前提でなくては、農業というのは、私は再生できないんではないかという思いを常に持っているんです。そういう
皆さんは、もう農業に見切りをつけて、農業では生活が成り立たないから別の産業に移っていくという傾向が非常に強いわけですから、この農家の子弟を
後継者に育て上げていくというのは、大変な、事業になっていると思うんですよね。こういう部分の支援というのがなかなか具体的に見えてこないというのを常に思っているんですが。
現在やっている農家の子弟が農業を継いでいくという、こういう目標をもう少し明確にして、それに具体的な
支援策も含めて検討して、農家の
子供たちが農業に参加できる、そういうPRや、そういう支援というものを考えておられるか、おられるとしたら、具体的にどういう
支援策があるのか教えていただきたいと思います。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 いわゆる農家の御子息といいますか、農家の
後継者の方に就農をしていただくということは、土地があったり、機械があったり、
農業経営の基盤があるという観点からも、あるいは地域で生活をし、その地域の状況、農業の状況をおわかりいただいているという観点からも、非常に大事なことだというふうに思っております。県で
農家子弟に対するといいますか、新規就農する方に対する
支援策を、例えば
普及センターで技術の支援をするとか、いろいろ講じていますけれども。今回、国の
青年就農給付金が出てきたというものの対比で考えますと、農家の子弟に的を絞った、そこを直接対象にした施策というのは、今のところ明確なものは、残念ながらやっていないというのが現状でございます。もちろん重点的な支援をしていったり、それから仲間の方といろいろ研さんをしていく、そういう研修の場をつくるとか、そういうことは対応しているわけですけれども。
23年の
新規就農者、211人なんですけれども、このうち、いわゆる
農業外から参入をしたという方が35%で、残りの方々は、学卒で就農するとか、あるいは農家の方なんですけれども都会にいて、Uターンで帰ってきて就農するというような形で、6割から7割ぐらいは、いわゆる県内の農家の方というふうに見ておりますけれども。現状、そういう方に対しては、
新規就農者対策という枠組みの中で講じているところであります。
◆
小林伸陽 委員 新しい農家の
後継者をどう育てるかという上で、私は
新規就農者と同等に支援をしていくという姿勢がやっぱりなければ、農家の
後継者をつくっていくという方針からすると、非常に偏った部分にしか目が向かない施策だと言わざるを得ないと思うんですよね。これは国の施策もありますから、難しい部分も当然あろうかと思いますけれども。ぜひその辺は、国にもその制度の改善を求め、また県独自の施策でも、もっともっと長野県農業を守っていくという上で取り組みを強めていただきたいと、これは強く要望しておきたいと思います。
最後ですが、農業を守るという上で、最も必要なのは何かといったら、私は
自給率を高めるということ以外に、農業を守る施策は具体的にはないんではないかと。世界の
先進国の中で日本の農業、
農産物の
自給率というのは極めて異常に低い国。これを放置してどんな
農業施策を講じても、農業は成り立たない。
農産物を輸出して農業を守ろうということは、基本的には農業を振興するという方向ではないと。世界では食料の不足がこれほど広範に広がってきている時代はないんです。こういう食料が世界的に見れば深刻な事態になっている中で、日本という世界に冠たる
先進国が、食料の
不足地域から食料を買い上げて生活をしているという、こういうことで本当に
日本農業は守れると私は到底思えない。世界どこの国でも、100%以上の
食料自給率を確保しようと努力をされておりますし、あの北朝鮮で食料の
自給率というのは40%だそうですよね。日本より高いというんですよ。ただ、外国から物が入ってこなくなれば、ああいう悲惨な状況になるというのが典型的だと。
ですから、私は、
ブランド品もいいだろうし、高い技術の農業もいいだろうし、しかし、国民が食べる食料を、日本の食料を食べようという、世界では
食料安保とも言われているんですが、大事な
農産物は輸出しないという制限を加えている国もふえてきているわけですから、そういう中で、日本はもう外国に高級な農作物を輸出して農業を再生しようという方向が非常に目立ってきているんですよね。それも一つの確かに方法ですけれども、基本的には日本の食料は日本でつくると。このことがなければ、絶対に
日本農業の再生はあり得ないと私は思いますし、
日本農業の多面的な役割というのは非常に大きいと思うんですよね。
観光部では、長野県のすぐれた自然、長野県の
田園風景、長野県の里山の風景、これは宝だと。そしてこれを観光の目玉にしていこうとしているけれども、
観光部はいいところをとればいいわけなんですが、それを守っていくというのは一体何かといったら、やっぱり農業だと思うんですよね。それから日本の
学術会議で、農業の多面的な役割をお金で評価すると8兆2,000億円にもなると。こういうものを本当に守っていく上で、予算の配分というのも、そういう観点で見ないと、
農業予算というだけではなくて、観光の問題も含めて、ぜひ位置づけをしていくことが必要ではないかと思うんですが。その辺、どう考えておられるか、
お尋ねしたいと思います。
◎
高田幸生 農業政策課長 委員さん御指摘のとおり、
食料自給率、低下の傾向でございます。現在、平成23年現在で国の
カロリーベースでいくと、全国が39%、長野県においては52%という状況であります。
食料自給率につきましては、確かに国全体とすれば、何か不測の事態があったときに、国民の食料を確保するという意味で、全体としては非常に重要な施策かと思います。ただし、その国内において、各
地域地域によって、
農業構造や
生産構造が違いますので、特に、御存じのように長野県については、米以外の
園芸作物とか、野菜、
花き等、
カロリーベースでいくと算定できないものを中心にかなり大きな
農業生産を上げているわけでございますので、委員さん御指摘の件については、全国的に
自給率という考え方は重要であろうかと思いますけれども、長野県ではそれ自体を目標にするということよりも、別の指標を使って目標を立てるべきかなと思っております。
◆
小林伸陽 委員 基本的にはそこの国で生産した食料で自国の消費が賄えると。さらにそれより上回る食料を
食料不足の地域に供給していくというのが世界の流れにならざるを得ないと思うんですよね。ですから、そういう観点からも、農業を守らなければいけないという思いにならなければ、私の子供のころは米が不足して、食べる物がなくても強制的に供出をするという、こういう状況だったんですね。だから、足りないときには強制するけれども、余ればもう要らないよという
仕組みではなくて、ちゃんと安定して供給できる体制をつくるということが原則だと思いますし、その辺の認識が私とはちょっと違うと思うんですが、私は食料の
自給率を高めると。
例えば県が大手の企業にも、積極的に、
大型店を含めて、長野県産の食料の販売の要請を積極的にやるとか、例えば農協の売店みたいなところでも、一体、長野県の食品がどれだけ売られているのかと。これをもっとJAも、私なんかJAへよく行っているんですが、一体、この店舗の中で長野県産の物がどの程度を占めているのかといえば、本当に少ないんですよね。ですから、そういうものを改善して、地元の農業の販路をつくっていくということをやっていかないと、結果的には、ブランド化された部分は勝ち残れるけれども、そうじゃない、
山間へき地、そう
生産性の高いところじゃない、言ってみれば長野県の自然が一番豊かで宝だというところがどんどんなくなっていくと思うんですね。
そういう点では、
スイスのアルプスでは、
観光資源としてものすごい手厚い保護をしているんですよね。私も見たところでは、その農家の人は牛を20頭ぐらい飼っていると。標高が4,000メートルぐらいのところで酪農をやって、酪農ではほとんど採算が合わないと。しかし所得は、酪農で得る所得は全体の20%だと。あとは
価格保証と
環境整備をしているということから
補助金が出ることで生活を営む。それがあの
スイスの観光の宝を守っていると。こういう施策をやっているからこそ、あの自然が守られて、観光であれだけ大勢の人が受け入れられて、農家の
皆さんも安心して仕事ができると。こういう
仕組みがすっかりでき上がっているんですよね。だからそういう点でも、長野県のきれいな自然を守り、宝の部分をどう守っていくかというのは、共通する思いで見てきたんですが。食料の自給と、それから農業の多面的な価値といいますか、こういうものとを合わせたダイナミックな
農業施策というのを展開していくべきではないかと思うんですが、どうですか。
◎
高田幸生 農業政策課長 委員さんの今の御指摘の多くは
地産地消の問題かと思います。確かに地元でつくった長野県産の物を地元で消費するということは非常に重要ですので、それについては、さまざまな施策、野菜、米等、いろいろな物が地元でできるわけですが、それはできるだけ地元で消費することで
生産振興になりますし、それはひいては農業を守ることになりますので、それに関する施策については、引き続き重要かと考えておりますので、推進をしてまいりたいと思います。ただし、長野県は
農産物については、季節的にできる、できないという時期もございますので、そういうものは流通とかを考えなければいけないなと考えております。
それから、そういうことを進めることによって、中
山間地域で農業をやっている方が、引き続き農業をしていただいて、先ほど委員さん御指摘の、景観とか、
国土保全等の多面的な機能を持続していく必要はあろうかと思います。そういう意味で、新しい食と
農業農村振興計画におきましても、住みたい農村をつくる、維持していく。それから
農産物については、さまざまな施策を講じて振興していくということで位置づけておるところでございます。
◆
小林伸陽 委員 農業をやっている
皆さんが高齢化して、ますます農業に将来を見出せずに
後継者がどんどん減ってきているという実態の中で、ぜひ、夢を見られるようなものにしていただきたい。それで
地産地消も、
自給率を高めることの一環だと思っているんですよね。国内でできることをもっともっとダイナミックにやっていくということも、外国に売るというだけじゃなくて、そういう日本の農業を守るという、そんなこともぜひこれから検討を加えていただいて、夢のある農業になるように、ひとつ頑張っていただくことを強く要請して終わります。
◆永井一雄 委員 最初に強い園芸産地育成事業についてお聞きしますけど、ことしは、需要に応える園芸産地育成事業に名前を変えられたようですが。農家の
皆さんから言われておるのは、去年、リンゴの種苗の導入費が補助あったけど、ことしはないんじゃないかと、こういうようなお話なんですけど。その辺は、御説明の中ではそういう細かいことがなかったものですからお聞きしますけど、どのような状況なんですか。
◎北原富裕
園芸畜産課長 来年度からは県単の、需要に応える園芸産地育成事業になりますけれども、県単の補助事業の中での果樹の苗木の支援についての
お尋ねかと思います。国の果樹産地経営支援対策事業で、リンゴだけではなくて、果樹の種苗導入に対しまして、リンゴにおきましては定額で32万円以内、それからそのほかのものについては2分の1というような助成制度が整備されておりまして、私どもとしては、それを極力活用できるように産地に御提案をし、農家に活用していただく中で、県単の非常に限られた予算の中でよりは、国の事業費を活用して進めていきたいと考えているところでございます。
◆永井一雄 委員 そうすると今までは県単があったけど、新年度からは国の制度を十分活用してもらって、県単はなくしたという理解でいいわけですか。
◎北原富裕
園芸畜産課長 内部的にはそれで検討しているということでございます。25年度からの事業になりますので。ただ、24年度までも国の事業は当然活用できたわけでございまして、そういう中で国の事業と県単の事業とをきちんとお使いになる生産者に十分説明をする中で、御理解を得ながら整理をしていきたいと思っています。
◆永井一雄 委員 そこで、農家の
皆さんは、おらの仕事が大切だから頑張れ頑張れと言いながら、わずかなところの
補助金は切ると。こういうようなことが、今まで国の補助プラス県単があったわけですよね。それを、頑張れと言いながらそちらの分を切ると、こういうことに不満があるんだと思うんですね。ですから、私は、いろいろな事情はあるので結構ですが、地元の
人たちとね、やっぱり一生懸命やっている農家の
皆さんから見れば、何でそんな冷たいことをするんだということがあると思うんですよ。そういう意味で、毛細血管でいえばもう細部のところまでしっかりわたっていかなければ人間うまく生きていけないわけですから、その辺をぜひよろしくお願いをしたい。大した金額ではないんですから、今までどおりにやってもらえばいいんだと思いますけど、その点、要望として、
皆さんによくお話をしてもらいたいということをお願いします。
2番目に、
小林委員からもお話がありましたけど、農業技術の向上と
後継者育成ということで農業大学校、あるいは実科生ということで、須坂の園芸試験場で、
皆さん、1年ないし2年、農家の子弟が勉強していたわけですよね。そこで実力をつけて、うまい果樹産地、果樹産業というふうになっていたわけですけど。昔はその実科生は無料だったんだけど、今はお金をとっていると。先ほどの予算を聞けば、年4万2,000円ということですよね。これも、片一方で150万円くれて、頑張れやといって、片一方では、
後継者になる人には、おまえ、勉強するに4万2,000円出せと、ちょっとこれもみみっちい話だなと思うんですよね。そこで、少し検討してもらう必要があるんじゃないかなと。いかにして農家に気持ちよく働いてもらうかと。ここだと思うんですけど、部長さん、どんなものなんでしょうかね。
◎
中村倫一
農政部長 歴史的なことを申し上げますと、昔の果樹実科ですとか、畜産実科というのは、そうしたものを徴していなかった時代もありました。これは、捉え方にもよるんですけれども、研究員がさまざまな研究をするに当たって、そのお手伝いをしていただきながら勉強していただいた。ところが、学校制度として研究員が教授として、一定の時間はちゃんと理論を教えて差し上げて、しかも研究のサイドと一緒になって作業をするということをもってして、まさしく実務を覚えていただく、論理も覚えていただくということになって以降は、一定の額の徴収をさせていただいているという変遷がございます。
ただいまの御質問の趣旨とすれば、新規に農業を志した方々には国から年150万円のものがあって、
農業後継者として果樹実科、あるいは花き実科、畜産実科といったところには、支援がなくて、県が金を徴しているということ自体についてのギャップをどう考えるかということだと思うんですけれども。150万円は、大学など専門教育機関で学んでいただく方についても、研修費として出る部分があるわけでございます。これが制度上のあやとして、
農業後継者ということだけでいった場合に、その方には150万円が出ないということになっております。この方々が研修の結果として、お父様が経営をされている部門とは若干その品目が違ったものを展開されるということになりますと、これは研修費として150万円の対象になる、それだけではございませんけれども。そうした制度の、十分に行き渡らない部分といったら国の
人たちに怒られてしまうかもしれませんけれども、始まったばかりですので、そうした現場との調整がうまくついていない部分がございます。これは昨年来から、できるだけ農業を志す
皆さん方については、広く国の
支援策の対象にしていただけるようにということでお願いをしてまいっているところでございます。
先ほど
小林委員からの御質問にもございましたように、
農業後継者、ストレートにお父様の経営を継承するという方にとっては、対象にならないということでございますので、これは、今ある制度の運用として広げていただくのがいいのか、
農業後継者としての専用の形の制度を国家制度としてつくっていただくのがいいのか、これはどちらかにしないと、いずれかが漏れてしまいますから、いずれかの方向で検討してほしいということについては、もう既に私も1月に農林水産省へまいりまして、そのことについては、かなり上まで、時間をとってこういう実態があると、今回の150万円はいいことだけど、その対象にならなかった方々、
後継者も含めて、いろいろ農村地域ではあつれきがあると。このことを勘案して、これからいい農業を担っていこうとする方々なので、ぜひひとつ分け隔てなくという形で、やる気のある者には応援をしてもらうような制度をつくってもらうか、制度の運用として変えていただきたいとお願いをしてまいっているところでございます。
◆永井一雄 委員 力強いお話、ありがとうございました。そこで部長さん、私は国に言うことも大切なことですが、制度として長野県で阿部知事に、今の部長さんの熱意をピシッと言ってもらう。長野県は、農業だ農業だってこんなに力を入れて、日本一就農しやすい県だとか言っておきながら、ささいなところで、もっと農家の
後継者が意欲を燃す、夢ある農業をつなぐ。こういうことにするなら、1,200万でしょう、大学で学んだのも、こちらからいっても大した金額じゃないわけですよ。そのくらいのことを、違うところで、もっと農業の機械を売っているところとか、そういうところから集めるとかいろいろしながら、集めるほうは集めることまで考えてもらって、こちらのほうはもう無料にしてやって、おまえたち頑張れと、おまえたちに長野県は夢を託しているんだと、こういう元気なところをぜひやってもらいたい。新年度が始まるわけですけど、6月議会にはその修正案、減額修正が出るぐらい、熱意、意気を持ってやってもらう。こんな点について、一言だけで結構ですから、その決意をお願いいたします。
◎
中村倫一
農政部長 大変厳しい御指摘をいただきましたけれども。
お答えとすれば、長野県のこれからの農業を担っていこうと志していただいている方を、中身として、質の高いものを伝授し、そしてまたいい経営が展開できるような力を蓄えていただくということについては、これまで以上に力を入れてまいるというふうに思っておりますし、今回、農業大学校の一部についてもいろいろな見直しをさせていただいて、本当に即戦力になる方々も育てていくというところから手がけているところでございまして。この関係についても、私からも阿部知事に対しましても、農業の担い手を育成していく上では、新たな感度ですばらしい農業を営もうとする方々を応援することが大事ですということをお話しさせていただいて、これは理解をいただいているところでもございます。中身については一生懸命やらせていただきます。
こういった方々から一定の金額をいただくという現実につきましては、これは農業大学校制度そのものの本質にかかわる部分でもございますし、それから大学校制度は、農業分野だけでない分野もございます。一定程度の御負担をいただくことについては、共通する経費ということについての御理解もいただきながらこれまでもやってまいったところでございますので、いただいたものをしっかり活用させていただいて、いい中身にさせていただくように努力することをお約束をさせていただきたいと思います。
◆永井一雄 委員 最後のほうよくわかりませんでしたけど、実科生だけでも、実際にお手伝いもしながら学ばせてもらっているということもあるわけですから、ぜひ御検討のほどをお願いいたします。
次に6次産業の推進というのがあるわけですが。今回の資料を見ましても、ことしは68件の6次産業化の云々をしていくとなっておりますが。他県で私ども視察したところでも、6次産業化について県でいろいろな取り組みをされていることもわかりますし、この振興
計画等でもいろいろ書かれています。そういうことを実際にしっかりやっていってほしいというのと、68件というのがあるんですけど、販売目標というのをどのように立ててきているのか。今まで何件があって、どのぐらいの販売額になっておるのか。そういうところの話というのは、資料にもないし、お聞きはしてないので、改めて、今まで何件あって、販売額はどのぐらいあるんだと。そして68件あるんだけど、その販売額というのを、目標を立てたほうがいいんじゃないかと、この2点についてお聞かせください。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 6次産業についての
お尋ねをいただきました。まず6次産業につきましては、現時点で国の総合化事業
計画等で認められているのが58件になっております。先ほど委員さんおっしゃられました25年度の目標ということで、68件という目標を立てさせていただきました。これは10件、この1年間に10件を達成しましょうという目標とさせていただきました。これまで58件につきましては、過去のストックというんですか、やはり長野県でいろいろな事業計画を持っておられた方が6次産業化法のスタートの中で、では6次産業の総合化事業計画の認定を受けてやっていこうというようなことで、大分上がってきたんですけれども。やはりそのストックがある面では切れてきている部分がありますし、なかなか、最近、量がふえてこないということで、確実に達成できるということで10件の目標を立てさせていただきました。したがいまして、平成25年度には68件という目標でございます。
今度は販売額のことでございますけれども、国の総合化事業計画が、5年間に5%の販売額の増加を条件にしてございます。これにつきましては、実際に小さいものもあれば、大きなものもあって、何千万円以上でなければならないということはございませんので、小さいものから大きいものまで、総合化事業計画の販売額はあっていいわけです。その中で、これまでの実際の量というのが、平成23年度に総合化事業計画で認定されたものの平均をとってみますと、大体4,000万円くらいを5年間で上げたいという計画がございました。24年度の平均をとってみますと、おおむね5,000万円くらいに上がってきているというようなことで、過去の計画を平均という形でお話しさせていただきましたけど、今後も、実際に幾らのものが上がってくるかというのはないわけでございます。今のところでいきますと5,000万円か6,000万円くらいが5年間で上がるであろうというふうに予測をしてございます。
そうした中で、平成29年度の食と
農業農村振興計画の達成目標の中で、関連事業額として約50億円ほど上がっているんですけれども、そういったものも加味する中で、農産加工等で約50億円くらいの販売額の増加が見込めるだろうということで、試算をさせていただいております。
◆永井一雄 委員 24年度は締め切りになってないですけど、23年度の締め切りとか、あるわけですよね。私はここのところに書かれているように、いろいろなことを
皆さんがやっていただいている。要は一本立ちするまで力を貸してくれているということだと思うんですね。そうすると、今までの58件、あるいはことしも58件だと思うんですけど、そうするとどこの事業所がどのぐらいの稼ぎがあってどうだと、どんな品目をやって、何人でやっているとかという一覧表があると思うんですよ。そして1年に1回ないし2回、6次産業化に手を入れた
人たちを集めて、研修をやるとか、これを見れば、経営、サービスなど幅広い経営意識を醸成しとか、そんなことが書かれているわけですよ。それは、今までに実施されてきていると私は見ているんですけど。そしてそういう細かいところへ手を入れながら、長野県の6次産業化というのはもう意欲を燃しているんだと。
この前、他県へ見に行ったときに、いろいろ説明も聞いてきたんですけど、なかなか説明も立派でしたし、燃えるような心意気でやっていたというふうに私は感じたんです。そして、今、室長さんにお聞きすれば、4,000万円で、平均が5,000万円ぐらいじゃないかというようなことなんですけど、そういう締めというのは、全然今まではしてないんですか。あるいは研修は何回やっているとか、そういうことというのは、どのくらい
皆さん理解しているんですか。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 まず、今まで認定になった方々へのフォローということなんですけれども、これまで6次産業化につきましては、国が直接採択をし、それで国がサポートセンターをつくりましてフォローしていくというような体制がございました。そうした中で、そういった
皆さんを集めての研修だとか、それからその実際に採択になった方々へのフォローアップにつきましては、サポートセンターからプランナーという方を派遣するような形の中でフォローされてきました。ただ、実際に国のサポートセンターの機能が、そういった方々に十分なされたかどうかということにつきましては、私どもも十分把握できてない部分があります。国が直接そういったフォローをする以外に、県にもそういったものを一緒に考えていきましょうというような形に、今年度なってきております。我々も、既に採択になった方を含めまして、そういったフォローをしながら、その方たちが確実に事業計画につなげていけるような、そういった状況をつくり出していきたいというふうに考えております。
◆永井一雄 委員 そうすると、どうも今までのお話を聞いていても、長野県が主体的にということではなくて、どうも国が進めているから、その下に長野県がやっているというように聞こえてしまうんですけど。制度的には国が金も出したりすると思うんですけど。しかしそこへ長野県として一味も二味もつけるという努力がされているんだと思って話をお聞きしているわけですよ。だけどそうじゃなくて、国がいろいろなサポートをしているので、そこへ付随してというか、言葉は悪いかもしれませんけど、おつき合い程度でやっているんで、細かいことは国なんだというように聞こえてしまうんですけど。
私は、長野県が国のそういう制度を使いながらも、長野県が一味も二味もつけたものをやっているんだと、こういう心意気を聞きたかったし、また資料もピシッと出してもらえば、なるほどとなるんですけど。なるほどというような話がいつもないので、ぜひ今後、なるほどという話になるようにお願いをしたい。
最後に、株式会社など企業参入について、いろいろありますが、先日、新聞を見ていたら、1,000社にも及んだと。長野県ではどうなんだと見ますと、振興計画を見ると、そば屋さんの話が写真に載っているんですけど。6次産業化では、いろいろな資料が、この6次産業化の推進というのはどういうものなんだとこういうふうに載っていますよね。企業参入は、この新聞などを見ますと、09年12月に農地法の改正があったと。農地面積が50アール、北海道は2ヘクタール以上、さらには売上高の半分以上、
農産物の加工や販売などに関連する事業が占めなければいけないんだというようなことが書かれていて、私も勉強不足でなるほどと思ったんですけど。
こういう資料にそういうことをしっかりと載せていただける、片方では載っているんですよね、この6次産業化ほうでは。片方ではそういうのが載っていない。そうすると長野県は、この企業参入にあんまりどうも力を入れてないんだということなのか。あるいは何社があったのかというのも、一つも載っていないわけですよね。そば屋さんのだけ写真入りで載っているけど、あと何件あったんだろうと見ているんですけど、一つもそんなことは書いてない。そんな点が、ちょっと不足ではないかなと思うので、企業参入の実態について、簡単に言ってもらって、あと資料で出していただければ結構です。よろしくお願いします。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 長野県への、いわゆる一般企業の参入の状況ということかと思います。現在、24年の1月末という数字でございますけれども、54の企業が20の市町村で
農業経営を行っております。面積は103ヘクタールということでございます。
〔永井委員から「何年の資料」という声あり〕
24年の1月末、1年前の数字でございます。
◆永井一雄 委員 わかりました。また詳細な資料を出してください。それで、長野県とすれば、こういうものをもっと積極的にやっていくということなんでしょうか。その辺のところは、これを見てもよくわからないんですけど、耕作地で荒廃地があるとか、いろいろあるんですけど、その点はどんなふうに取り組まれているわけですか。相談に来た人には相談に乗るけど、こちらからいろいろな情報を得て、企業に向けて、あるいは法人に向けてやっていくのか、それとも、長野県とすればあんまり積極的じゃないんだということなのか、その点についてお聞かせください。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 従来は、どちらかというと企業が参入する場合のメリット、それからいろいろな意味での不安といいますか、デメリットという部分があって、若干消極的な部分もあったんですが。今回新しくつくりました、第2期食と
農業農村振興計画におきましては、企業の農業参入等を促進していくんだという形の位置づけをさせていただいております。耕作放棄地の問題、あるいは農業従事者が減っていく中で、企業的な
農業経営を目指していくという全体の流れの中で、従来よりもより積極的に進めていきますという姿勢を打ち出したところでございます。
○
金子ゆかり 委員長 先ほど永井委員の質疑の中で、資料要求がございましたが、それを
委員会として資料要求するということででよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
それでは、後ほど準備ができましたら、提出するよう取り計らい願います。
午後1時30分まで休憩を宣した。
●休憩時刻 午前11時40分
●再開時刻 午後1時29分
○
金子ゆかり 委員長 再開を宣した。午前中の
委員会において、要求しました資料については、お手元に配付したとおりであります。理事者から発言を求められていたので、これを許可した。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 別添追加資料「一般法人の農業参入について」により説明した。
○
金子ゆかり 委員長 委員の
質疑等発言を許可した。
◆竹内久幸 委員 それでは質問させていただきます。まず、夢をかなえる
支援事業で、日本一就農しやすい長野県を実現するということなんですけれども。日本一就農しやすい長野県という以上は、何か根拠があって、こうすればなるという、資料に書いてはあるんですけれども、どうもなかなか具体的イメージがいまいち湧かないんですけれども。例えば、日本一ということは、ほかの県よりも一番就農しやすいということなんで、ほかの県でもそれぞれいろいろな施策も、お互い競争でやっているわけですけれども、その辺も含めて、具体的イメージが湧くように御説明をいただければ大変ありがたいと思いますが、よろしくお願いします。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 一般質問で部長も御答弁をさせていただいた部分と重複いたしますけれども、考え方といたしましては、若い方が農業を志したときから、いろいろなステップアップ方式の支援ということでやっているわけです。地域に定着をして
農業経営で自立をしていく、そこに至るまで、継続的に、あるいは切れ目のなく、必要十分な支援施策を御活用できるように、体系的に受け入れを整えていくという状態にあるということをイメージをしております。
実際には、県だけではなくて、市町村やJAさんとか、そういうところとの連携をより強化をして、これは食と
農業農村振興計画でもそういう
方向性を出しておりますけれども、前段申し上げましたような受け入れ体制をしっかり整えて、若い方が長野県に就農してよかったと思っていただけるような体制を整えたいという、それを日本一にしていきたいとそういう考え方でございます。
◆竹内久幸 委員 とすると、ここで、夢をかなえる
支援事業として幾つかうたっているわけですけれども、既存の打ち出した事業そのものが、現在でも日本一就農しやすい環境としての創設した制度であるとこういう解釈でよろしいんでしょうか。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 現状でも、長野県は切れ目のない支援ということで心がけて対応しております。位置づけとすれば、日本一就農しやすい長野県を目指して、その実現に向けて施策を展開していくということとしております。
◆竹内久幸 委員 努力目標として日本一ということを挙げているということになるわけですね。ただ日本一という場合に、他と比較したときにどういう比較ができるのかどうか。つまりそれは就農する人の数なのか、あるいは就農した方の満足度なのか、その辺のところの尺度というのは、日本一という以上、比較するのにどんなことを念頭に置いて言われているのかどうか、お願いします。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 数という尺度もあるんでしょうけれども、私どもが考えておりますのは、数というよりは、むしろ就農された方が、本当に長野県で農業をやってよかったと。農業に至る道筋、その経過においても、いろいろな支援、自分が必要とするような相談等も含めて、やっていただいてよかったと思ってもらえるようなところを目指していきたいと考えております。
◆竹内久幸 委員 基本的には、国の就農支援の事業を活用してというのが一つの柱になっているんだろうとは思いますけれども、ただ、国の事業というのは、全国一律でして、そういう意味でいくと、やっぱり具体的に長野県らしさというものをどう出していくのかというところが一番大きなポイントになろうかと思います。例えば島根県では、「半農半X」ということで、県外からのUターン者を対象に10年度から兼業就職
支援事業ということで始めていまして。市町村が農業所得目標100万円プラス兼業所得目標200万円などの営農計画と生活モデルを示して、希望者を受け入れて、それで月額12万円などを支給すると。ただし、最低5年間、就農しなければ返還が必要になるというような制度をつくって、言ってみれば、初めは100万円しか所得がないけれども、違った職種をあっせんして、村や町の中の他のところで、福祉の職場を兼務したりして、兼業という発想の中で位置づけてやっているような、多重な機能も持たせているようなこともあるわけですけれども。そうしたことをこれから制度的に、同じことでなくてもいいんですけれども、他県でもそうしたことをいろいろ知恵を絞ってやっているわけで、そういうことについてはどんなふうに考えておられるのか、伺います。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 食と
農業農村振興計画の中でのしっかり位置づけをした部分というのは、県だけではなくて、市町村やJAともどもに、積極的に誘致をしていこうという方向を、今回、出したわけでございます。特に、今、市町村、JAと、実際に就農をするその地域の関係機関が、工場の立地を求めるのと同じように、自分の地域はこういう状況ですのでぜひうちへ来てこういう農業を実施をしてくださいということを、積極的にそういう
方向性を持っていきたいと思っていまして。ある意味、これがこれからの、長野県の新規就農対策の他県との違いの一つにもなろうと思いますし、ベースとなる部分かなと考えているところでございます。
◆竹内久幸 委員 それで、今回、農政
委員会に参加させていただいて、大変農業の厳しさというものをひしひしと感じたわけでございますが、国の新たにできた制度で、新規就農総合
支援事業にしても、実際の、先ほど来もお話がありますけれども、農家の後継ぎといいますか、そういう
皆さん方がなかなか対象になっていないという現状。しかし、現実問題として、農家の
皆さんは、機械もあれば、あるいは農地もあれば、既存のやっている方は技術も持っていらっしゃると。それをどうやって継承していくのかというところは、大変大きなというか、一番手っ取り早いといえばおかしいですけれども、一番力を入れなければならないことだと私も思っています。
その意味で、国に対しても、本会議でも部長が御答弁されていましたが、国にしっかりと位置づけてもらうように取り組んでいただきたいということが一つ。これが大変本県にとっては大きな、緊急を要する課題であるということで、そこの位置づけが落ちているような気がするので、国に対して求めていくということを改めて決意を、これは部長にお聞きをしたいと思います。
◎
中村倫一
農政部長 御指摘の中にもございましたように、本会議でもその旨を答弁させていただいたところです。
農業後継者の
皆さん方に対する支援の現状と今後に対する考え方は、本会議場でお話ししたとおりの認識でございます。ただ、
後継者の
皆さん方を一切相手にしていないということではなくて、現在、県といたしましても、午前中の質疑の中でも関係課長から
お答えを申し上げましたように、いろいろな部分では支援をさせていただいているところでございますけれども。これからいろいろな情勢が変わってくるかもしれませんけれども、やはり外国の農業というものもある程度意識した上で、これは
TPPのあるなしのいかんにかかわらず、やっぱり経営をちゃんとやっていくという方を育てていかなくてはいけないということでございますので。私の今の時点での気持ちとすれば、お父様の経営を単純に継承される方もこれは大事なんですけれども、若い方として、さらにお父さんの経営規模を拡大する意向を持ったり、あるいは中身を充実させる意向を持った方々を、これは中心的に支援するような施策がぜひほしいということで、既に国にも要請を始めたところでございますので、これは26年度に向けて、農林水産省も26年度以降の施策形成に向けて、既に検討を始めるというふうに聞いておりますので、頻繁に足も運んで要請をしてまいりたいと考えております。
◆竹内久幸 委員 前段に意欲あるということがつくということだとは思いますけれども、ただ、前もお話し申し上げましたけど、現実問題として、例えば自分が仕事を定年でやめて、俺はやりたいんだけど、親父、土地を分けてくれるかいというような話を含めて現にやっている方がいらっしゃるんですけど、なかなか、その親父さんは、こんな大変なことを何でやるんだというような話で、本人が意欲あっても、なかなか継承したがらないという現実もあって、これは放っておくと必ずだめになっていってしまうという事例もあるんで、その辺も含めて、きめ細かく、制度的に手を伸ばせるようなものをやっていかないと、広がっていくのはなかなか限定されてしまうのかなという気もしますので、お願いをしたいと思います。
それで食と
農業農村振興計画の中にも、今後の夢ある農業を実践する経営体の育成ということにかなり力が置かれていて、どちらかというと、先ほど資料をいただいたような企業的
農業経営体の育成とか、組織経営体の育成とか、企業の農業への参入等の促進ということで、柱が置かれているわけですよね。そこにプラスして、今のような話をもう一本立てるということが必要なのかなということで、あえて先ほど、日本一就農しやすい長野県という中にも、もうちょっと柱としてしっかりしたものをつくっていただければなということで、お願いを申し上げておきたいと思います。
次に、教育
委員会の所管ではあるんですけれども、農業高校の、例えば卒業して新規就農された方とか、そういうことを
農政部としては把握されているのかどうか。また日常的にどういう連携が行われているのかどうか、お聞かせいただければと思います。
◎久保田純司
農業技術課長 農業高校の就農者という御質問ですけど、今、手元に資料がないので、後ほど
お答えさせていただきます。
◆竹内久幸 委員 というのは、やっぱり就農支援ということになると、当然、教育
委員会の所管であっても、農業高校の果たす役割というものは、大変大きいと思うんです。そことの
農政部との連携がどう図られているのかどうか。それから、例えば農業大学校にそういう
皆さん方が引き続き進学するケースはどういうものなのか。そういうこともしっかり把握していただきたい。というのは、そうでないと、例えば教育
委員会が、これからまた学校の統廃合をやりますというときに、全国的に見ても農業高校というのは、どちらかというと、片づけやすいというか、そういう傾向が出ているんですよね。だけど、農業高校の果たす役割がしっかりと位置づけられていれば、やっぱり
農政部としてもそれに対しては、人材育成という観点からも、地域と密着しているのが農業高校だと思うので、その辺のところはしっかり位置づけていただかなければいけないと思うんで申し上げているんですが。
◎久保田純司
農業技術課長 農業高校から、直接、就農されたという方なんですけど、大変少なくて、平成20年、21年、22年、それぞれ2名ずつということで、0.2%が就農されたということでございます。農業高校の意向というのも、我々も、農大の改革にとっても大変重要だと思っておりますので、外部委員の中にも南安曇農業高校の先生に、農業高校の連絡会議というのがございまして、それの部会長をお務めになっているものですから、そういった意見をお聞きしたり、現地の
普及センターでも、農業高校と連携して、農業を一生懸命やっていただける若者が農業高校へ行って、そういう夢を語ったり、実際の経営のお話をしたりする場を設けたりという、農業高校と現地の連携も、今、させていただいているところです。しかし残念ながらそういう状況です。
◆竹内久幸 委員 全国的には、これまで栽培技術中心的な農業高校の位置づけの教育というようなのが一般的であったと。しかし、時代の要請というのがあるので、6次産業化や地域との連携にも力を入れるなど、幅広い農業教育を展開するところが出てきたというような傾向があると。後でまた細かな話は申し上げたいと思いますけれども。生徒自身が、
地産地消や地域農業、
農産物の産地化とか、生徒が商品開発や地域観光の促進にかかわるような例も出てきているというようなことで、趣がだんだん変わってきたというのが、全国の事例だということが新聞等に書いてあるんですが。
その中でも、例えば長崎県の県立島原農業高校では、入るときに就農希望かどうかということをしっかり調査をして、それに見合った教育を希望者には3年かけて指導をしていると。それで、毎年、数人から十数人が卒業前に認定就農者になっているという制度をつくっているんですね。それで、認定農業者説明会を開くと、そこには県の職員が制度内容や手続などを説明した後、個別に分かれて懇談会を開催していると。それで、卒業式前の2月中旬には、全校生徒による
農業後継者激励会を開催しているということで、高校自体が、かなり就農に向けて踏み込んで、
農政部などと連携してやっているということがあるんですね。
特に農業高校の場合には、須坂の園芸高校にしても、自分らで栽培した果実とかを駅前で売ったり、あるいは地域の中でもいろいろと連携しながら、それぞれの学校の活動に生かしているというような、地域の特性も持っているので、そこのところをどうこれから生かしていくかということを真剣に
農政部としても考えていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎久保田純司
農業技術課長 今の御質問の前に、先ほど、直接、就農した方だけ
お答えしたんですけれども、農業高校の中には、農学系の大学に行かれたり、いわゆる県の農業大学校も含めて、短大系へ行かれたりする方がお見えになりまして、3年間の平均なんですけれども、大学の農学部、農学系へ行かれた方が全体の6%、それから短大の農学へ行かれた方、県の農大なんですが、3.5%。専門学校で4.9%。それから就職、
農業関係企業のところに就職された方が1割ほどお見えになるということをつけ加えさせていただきます。
それから今の農業高校の連携の話ですけれども。いずれにしても、農業を希望する若者が結構多いわけですから、一時はなかなか農業に就農されない方々が多かったんですけれども、最近、国全体の中でも、若者の農業志向というのは高まりを見せておりますので、今回、農大の強化もあわせ、農業高校との連携を図りながら、さまざまな形で進めてまいりたいと思います。
◆竹内久幸 委員 それで、農業高校のことだけいろいろと追いかけて、いろいろと新聞など読んでいるんですが。全国唯一の「りんご科」がある青森県弘前実業高校の藤崎校舎は、県の高校再編計画で閉校案が出ているということで、同窓会が中心になって存続を求め6万人近い署名を集めていると。しかし、教育
委員会はなかなか言うことを聞いてくれないと、こういう記事が載っているんですけど。青森県の「りんご科」がなくなれば、全国唯一が、長野でつくれば長野ということになるんですけど。例えば農業大学校にそういうものをやるというようなアイデアも私は必要かなというふうに思っています。後で
お答えいただければいいんですけれども、あえて、今、思いつきで申し上げておきたいと思います。
それで、農業大学校なんですけど、あり方に関する報告書が出されまして、一応方向が出ているんですが。一つの方向として、就農に結びつくような学科編成、あるいは指導を行っていくということだと思います。それで、年数とすれば2年間で、どちらかというと就農を中心にやっていくということになるんですけど。やっぱり農業というものに対する新しい時代の流れの中で、6次産業化であるとか、あるいは新たなビジネスチャンスみたいな形の中で位置づけたり、アグリビジネスですね、一定の方向が変わってきているとすれば、もうちょっと専門性を持たせたような、例えば大学に近い、あるいはこの上に研究機関を置くのかどうかわかりませんけど、全国から見ても一つの時代の人材を担っていくような、また大学と違った一つの個性というか、そういうものを出していくことも一つの手段ではないかなと。と同時に、そのこととあわせて農業高校とのやはり連携というものをしっかりと、その延長線上に位置づけていくことも、私はあってもいいんではないかなと思うんですけれども。その辺のところは検討されたのかどうか、その点について、お聞かせいただきたいと思います。
◎久保田純司
農業技術課長 大学校の教育の中身ということだと思うんですけれども。今回、改革に当たりまして、入学時にどれだけ農業を希望されたかと。実際に卒業時に農業をどうして選ばなかったかといろいろ聞いたんですけれども。やっぱり、最近、農大でも非農家の割合がうんとふえていまして、かつては農家の子弟の
皆さんがそのまま自分の家へ入るということが多かったんですけれども、最近、非農家の方が見えていまして、高校時代、あるいは大学に入ってしばらくは、かなり農業に燃えていてということなんですけれども。やっぱり20歳を過ぎたあたりで就農した場合に、土地がない、機械がない、あるいは資金がないというようなことがネックになったりしていまして、その辺をどう解決するかということだと思いまして。今回の改革の中でも特にその就農支援というのに力を入れていこうと。
それから、やっぱり就農されたときに経営能力がないといけませんので、一番、教育の中で重点的に置くのは、やっぱり演習だとか、あるいは経営力の向上を中心にやっていきたいと思っております。ただ、そうはいっても農大は、将来、長野県農業を立てていけるような農家を育成をする機関だと認識をしておりますので、やっぱりこういった国際化の時代ですとか、あるいは6次産業化が叫ばれる時代ですので、そういった専門性を持つ科目についても、従来より充実した科目構成に向けたカリキュラムを、今後、編成していこうということで、実際には26年の4月の入校生からですけれども、今後、詳細については検討してまいりたいというふうに考えております。
◆竹内久幸 委員 農業大学校、魅力あるものとして、あるいは農業試験場とか果樹試験場とかを含めて、全体の連携の中で、農業大学校の果たす役割というようなものも少し光るような形で位置づけていくというようなことが、私は必要じゃないかなということで、さらにそんなことも視野に入れながら御検討いただければ、大変ありがたいというふうに思います。
それから先ほど出た資料の中に、一般法人の農業参入についての食品関連が、今、18ということであります。これ、大体どんな傾向なのかですね。どういう業種というか、位置づけなのか、詳細がわかれば教えていただきたいと思います。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 一応業種で把握はしておりますけれども、その具体的な業務の中身というところまでは、詳細な部分はつかんではおりません。食と
農業農村振興計画にも載せてございますように、おそば屋さんを経営している会社が、食と
農業農村振興計画に載っているのは、出資法人をつくってということなんですけれども。みずからのそばをやるとか、そういうようなケースもあると思います。本来業務といいますか、それと関連する部門に入っているケースや、あるいは直接関係はないんだけれども、農業に立脚をするという意味で
農業生産のところにかかわるというようなケースもあるかというふうに考えております。
◆竹内久幸 委員 ある程度の傾向とすれば、把握をして手を打っていくということは必要だと思います。今、おそばという話が出ましたけれども、例えば小麦など、うどんとか麺類なんかもそうですけど、円高になってくると、輸入の単価がやっぱり上がっていくんですよね。どっちが得かという話は、国内でつくったほうが高いのかもしれないですが。ただ、直営的にうどん屋さんがやるとか、そば屋さんがやるとかという話は、これは遊休農地の対策にもなりますし、あるいは息子が後を継ぎたいんだといったときに、では、当面、息子はそこでそばをつくれみたいな話も可能になってくると思うんですよね。そういうところを手がかりにして、
地産地消の状況をつくっていくということを目玉にしていくこともいいと思いますし、特に、そばが遊休農地に植わっていれば、長野県的に極めて観光にも役立つし、景観的にもいいと。だからそういうことを誘導していくような施策というものをしっかり位置づけて考えていくということは、私、必要じゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
◎
鈴木秀行 農村振興課長 委員のおっしゃること、大変重要な観点かと思います。例えば耕作放棄地を活用するというのは、企業参入で、地元の方、私どもも含めても大いに期待をする一つの部分でもあると思いますけれども。そういうところについては、耕作放棄地解消の交付金がございまして、それをできるだけ活用できるような形で御相談もさせていただいております。
一つ、先ほど業種ということでちょっと言い忘れてしまったんですが、もう一つあるのは、ワインの関係のメーカーさんがワイン用のブドウをつくっているというケースも複数ございます。それも耕作放棄地の事業を活用して参入したというようなケースもございます。
◆竹内久幸 委員 よろしくお願いします。信州産のキノコの需要創出に向けた取り組みということで、需要創出コーディネーターによる学校給食センター、栄養士等への提案活動を、延べ185回行っているという説明があったんですが。どんな成果が出たのか教えていただきたいと思います。
◎北原富裕
園芸畜産課長 コーディネーターにつきましては、途中で人をかえておりますので、3名のとき、それから2名のときとございますけれども。そのコーディネーターが県下の学校給食の栄養士さん、また料理場を訪問しまして、ここにあります、例えば「えのき氷」ですとか、それからキノコのカットですね、それとペースト、こういうものを学校給食の中で活用しませんかという具体的な提案を、実際に調理場、それから栄養士さんと面談をしながらやったのが185回でございます。
それで、消費者向けという形でキノコの活用法という、先ほどパンフレットをお示ししてございますが、こういう栄養士さんですとか学校給食用に、具体的に学校給食でそういうものを使っていただいた調理献立をレシピというような形で具体的に示しまして、これをこれから全ての学校、調理現場へお配りしながら、実際に使っていただく。また、そういうもののサンプル品も提供しながら、調理献立をやってきていただく中で、栄養士の方々からは、非常に使い勝手がいいとか、うまみが出るとか、今まで認識していなかったような評価をいただいたということで、このコーディネーターは24年度単年度の事業ですけれども、今後、私ども、一般の活動の中で、資料を使いながら引き続き提案をしていきたいと考えております。
またさらに食品企業さんにもこういうものを提案しておりますので、そういう中では、活用例、それから需要がふえてくれば、これを製造する企業等との連携も可能になってくるんではないかなということで、そこまで将来的には見据えながら、来年度以降も引き続き、一般事業になりますが、進めてまいりたいと考えております。
◆竹内久幸 委員 学校給食、
地産地消ということで、大変重要だと思います。キノコについては大いにそういうことで御尽力いただいているんですけど、野菜全体についても売り込んでいただくようにお願いをしたいというふうに思います。
それで、これは
農政部だけという話ではないと思うんですけど、信州産の野菜のパッケージといいますか、あえていえばギフト、本会議でも取り上げていましたけど、山形県などは、山形県のさまざまなブランドをギフト商品にしてありますね、結婚式とかでもらったりする、ああいうものにして売り込むということで、商品化されて、県が音頭をとってやったということになっているんですね。
私も、本当はこの
委員会に野菜をつくる勉強に来たんですが、何も教えてもらえませんでしたけれども。東京などの方に、いろいろな、ジャガイモだとか、ニンジンだとか、ズッキーニだとか、キュウリだとか、これちょっと、クール宅急便で送らないといけないので、そっちのほうが高くなってしまうものもあるんですけど。送ると本当に喜ばれるんですね。我が家の家庭菜園セットとかいって送れば、うんと喜ばれる。また来年お願いねということで、また催促が来るような話なんですけど。
そういうものを、例えば県がギフト化して、窓口になってとか、どこかにやらせてもいいんですけど、そういう商品を開発してやることはできないのかどうか、その点、ちょっとマーケティング室長さん、
お答えいただきたいと思います。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 今、山形県の例をお話しいただきました。県内で実際にそういったセットでやっているというのが、
観光部の外郭団体で、信州プレミアムショップというような形を、今、開いているんですけれども、そちらでセットで販売をするという企画が出てきています。それから、JAでも、これはネットショップという形なんですけれども、実際にJAのいろいろな商品をネットで販売できるというようなことで、そういう動きが始まっているというようなことで。現にその信州プレミアムショップのセットというようなものは、それなりの売れ行きになっているということで。民間の方々がそういった形で動きを始めてくださっているという形になれば、私どももそういった意味で、いろいろな情報提供だとか、紹介というような形の中で協力をしていきたいというふうに考えております。
◆竹内久幸 委員 ぜひお願いしたいと思います。というのは、農協は農協でただどこかから集めるとかというんじゃなくて、個人でやっている方もいらっしゃるでしょうし、そういう
皆さんが売るといいますか、声をかけてもらえばやりますよみたいな雰囲気をつくっていくことも私は大事かなと思っていますので、お願いをしたいと思います。
それでは最後に、土地改良施設エネルギー活用推進事業について伺います。24年度2月補正で1億9,800万円ほど、新年度2億300万円余ということで、事業化されているんですけれども。具体的にイメージが湧かないんですが、何分の1補助とか、あるいは全額出すとかが書かれてないので、詳細な制度の設計や
仕組みを教えてもらえば思うんですが、よろしくお願いします。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 土地改良施設エネルギー活用推進事業ですが、まず予算が2億300万円余という形は、これは25年度当初予算ということで、前年度の1億7,000万円余は24年度当初予算ということでございます。このほかにあと1億9,000万円余が24年度の経済対策の補正で加わるということで、実質的には25年度は、4億円強といった数字になります。
それから内容でございますけれども、小水力発電、それから太陽光発電とも、一応、県営かんがい排水事業の中に位置づけております。その中で、おのおのの小水力発電等の施設を整備をしていくという形でございまして、県営かんがい排水事業の負担率によってやっていただいていると。したがって、地元負担分につきましては、市町村がのせる場合、のせない場合等ございますので、農家の負担分は一概に幾つというものは、その地域によって異なるという状況でございますけれども。国の50%を活用する中で、県営かんがい排水事業の負担率でお願いをしている状況でございます。
◆竹内久幸 委員 そうすると、他の農業法人とか、個人農家などがやる場合には、今のところ、対象を考えてないとこういうことでよろしいですか。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 基本的に県営かんがい排水事業の位置づけの中ということで、内容も、国庫補助については使途制限の関係等もございまして、売電にかかるものの、利益という言い方がいいのかどうかですけれども、それの使途は、土地改良施設の維持管理までという形に限られておりますので、補助がついているということでございます。土地改良施設の維持管理の低減のための事業であるということで、通常の、例えば水路を三面張りにして維持管理を低減をしていくのと同じ位置づけということでございます。したがって、NPOだとか個人が行うものについては国庫補助等の対象にはならないということでございます。
ただ、せっかくあるエネルギーをどうやっていくかという中で、発電事業の地域コーディネートといったようなことで、できるものをできる範囲でやっていっていただくためのお膳立てはしましょうというのも、この事業の中には位置づけています。ただし、あくまでもソフト事業という形でございます。
◆竹内久幸 委員 先ほど一般法人の話がありましたけれども、あと農業法人、単協もそうなんですけど、どの程度、維持管理に関して必要性があるのかどうか。私はそういう調査だけはしておいたほうがいいだろうと。というのは、今年度はそういうことでいいんですけど、例えば鳥取などでは、農業法人やNPO、あるいは個人も対象にして、単独事業だと思うんですけれども、補助を出しているんですね。上限を設けてはいますけど。そういうことを、誘導していくというような話もこれから出てくる
可能性もあるので、その実態把握といいますか、そういうものだけはしておいたほうがいいのかなということを思います。
それで、土地改良施設の維持管理費の軽減を図る。農村における自然エネルギーの有効活用ということで事業化されているんですけど、具体的にはどんなことを想定していらっしゃるんでしょうか。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 まず、土地改良施設の中でも、ポンプだとか、ゲートだとか、電力施設を伴うものが相当ございます。そういった電力に直接、発電した電気を充てるということも可能ではありましょうが、ちょっとそれはロスが大きいものですから、一旦売電して、その部分をそういった電力料金等に充てていくという部分が一つございます。それからもう一つは、水路等の維持管理、土地改良施設全般にかかるわけですけれども、水路等の維持管理にも莫大な費用がかかっているという部分で、その費用の軽減に充てていくと。こういったものが主な内容ということでございます。
◆竹内久幸 委員 わかりました。全国的には、遊休農地とか、いろいろ農業施設とか、そういうところで、太陽光などができるところは有効に整備していきましょうみたいな取り組みも行ってきていますので、そんなこともにらみながら、また本県の実態といいますか、実際にそういうことが求める空気があるのかどうかですね。そんな実態も把握しながら、備えていただければ大変ありがたいというふうに思います。
◆中川宏昌 委員 それではよろしくお願いいたします。まず、きょうは3月11日ということでございまして、東日本大震災から丸2年が経過した日になります。後ほど黙祷も捧げさせていただきたいと思いますけれども、お亡くなりになりました皆様については、心から御冥福をお祈りしたいと思います。
早期の復興を望まれているところなんですけれども、最近の新聞を見てみますと、この被災3県においては、現在、自治体職員が1,800人ほど不足していると、こういうような記事が見受けられましたけれども、今現在、県としても、被災地へ派遣ということで、職員が行っていただいていると思います。また、25年度についても、派遣を予定しているとこのように聞いているところであります。
この状況の中、
農政部としては、派遣要請があるのかという部分と、その要請に対してどのような対応をとっていくのか、この辺について、まずお聞かせいただきたいと思います。
◎
高田幸生 農業政策課長 派遣要請につきましては、
農政部としては、人事課経由になりますけれども、被災地へ農業土木の技術職員の派遣要請がございます。詳細につきましては、秦参事から。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 津波により非常に大きな被害を受けた農地、農業用施設の災害復旧ということでございまして、農業土木の技術職員の関係、24年度から派遣要請がございます。
◆中川宏昌 委員 今まで被災地へ行かれていた職員の方もいると思うんですが。その派遣の職員の方から、
農政部として、その方が帰ってきて聴取をしまして、今後、
農政部としてどのような支援ができることがあるか、あればお聞かせいただきたいと思います。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 まず現地での作業、業務の主なものが、津波により大変大きな被害を受けた農地の復旧という部分でございまして。特に跡形もなくというような状況の中で、区画整備的なもの、圃場整備に近いようなものが主体という形で実施をしている、そこの技術支援という形で、設計積算から現場監督に至るまで、現在、担当をしているわけでございます。本県の職員も過去に相当の圃場整備を実施をしてきているという中で、大変、現地では役に立っていると自負をしているところでございますし、また帰ってきた職員が、今後の、また圃場整備等のあり方等についても、長野県の中でいろいろまた検討していくにもいい機会であったろうというふうに思っているところでございます。
◆中川宏昌 委員 今、1,800人ほど不足しているという中で、やっぱり一番不足しているのが技術系の職員だとお伺いしているんですが。その中で
農政部の持っているノウハウを被災地にぜひ届けていただいて、一日も早く復興のためにまた御尽力いただきたいと思うんですが。一方で、派遣された職員においては、なれないところでの仕事、また、ある意味でいえばつらい中でのお仕事をされてきて、戻ってきているわけなんですけれども。そういった中で、戻ってきた職員については、メンタルな部分でのケアをされているかどうかというのをお聞きしたいと思います。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 まず、職員の派遣でございますけれども、業務命令というよりも、まず本人の希望をとる形の中で、自主的に手を上げてくれている人間が非常に多いという状況がございます。やはり全国の農業土木技術者の総力を挙げて、被災3県を応援していくんだといったことで、国からもそういう要請もあるわけですけれども。本県の職員も、そういったことで非常に高い意識を持っていただいているというふうにまず理解をしているところでございます。
行ってきた職員の話を聞きますと、本年度につきましては、実は3カ月ずつ3人という形で、岩手県へ延べ12人掛ける3カ月ずつということで、36人・月という形で派遣をしております。そのほかに福島県にも2人掛ける2カ月ということで4人・月、これだけを派遣しているわけでございますけれども。行ってきた職員の話を聞きますと、ちょっと3カ月では短かったとか、もう少しやることがあったとか、そんな話も非常に聞いているわけでございます。特に自分たちの業務を、その間、人に任せてという部分がことしはございましたけれども、それもしっかり各事務所で手当てをしていただいたということでございまして。特にメンタル的な意味でいろいろ弊害があったということは、ことしのところはなかったと理解をしております。
◆中川宏昌 委員 私が被災地に行っても何もできない中で、
皆様方は、技術を持っている職員の
皆様方ですので、ぜひ引き続き被災地の応援をぜひともお願いしたいと要望させていただきたいと思います。
続きまして、先週の
委員会で清沢委員から、農業と金融円滑化法の終了の影響、こんなお話があったんですけれども。私からも、この金融について、お伺いしたいと思っております。金融業界は、ここ十数年ですけれども、成長していく過程の中で、非常に法令遵守が薄れてきたということでありまして、コンプライアンス重視で業務を遂行していくんだと、こういう時代の流れになってきております。
そういう中にありまして、昨年末にJA佐久浅間については、職員が4,000万円にわたるお金を着服したという事件がありました。またJAグリーン長野においては、平成8年から平成9年にかけて、複数回にわたって、職員が2,000万円ほどを払い出しまして、いわゆる職員による不祥事件が起きているわけです。この不祥事件が後を絶たない状況なんですけれども。今、把握していればで結構なんですけれども、この近年の発生状況について、お伺いしたいと思いますが。
◎
高田幸生 農業政策課長 農協の不祥事の最近の発生状況でございますけれども、24年度で7件、23年度も7件、最近数年は同様の件数で推移しております。内容につきましては、分野的には信用事業、共済事業、それから購買事業等にわたっております。
◆中川宏昌 委員 23年度、24年度で、合計で14件というお話でありますけれども。このJAと県の関係を見たときに、県はどういう立場かというふうに見たときに、県は農協検査員を配置して、その検査、監督に当たっていられると思います。このように承知しているところですけれども。今回の、先ほど事例で挙げた事件の発生の後、具体的に
農政部としてはどのような対応をとられたでしょうか。
◎
高田幸生 農業政策課長 一義的に、農協の不祥事につきましては、事実解明等につきましては農協中央会でという管理責任がございますので、対応しております。ただ、農協の管理運営体制について、適正に行われているかどうかについては、私どもで検査をさせていただき、必要な指導をしていく。それで必要に応じて、経過やその対応についての報告を求めて、指導し、場合によっては業務改善命令を出していくと、そういうような対応をとっておるところでございます。
◆中川宏昌 委員 今、課長からは、指導、報告を求めているということでありましたけれども。業務改善命令ですけれども、2009年にJAグリーン長野に、2012年にJA佐久浅間、それぞれ
農政部から業務改善命令が出ていると思います、調べたところ。JAグリーン長野については、その業務改善命令の期間が終了したばかりのこういう中で、また新たに事件が起こっているわけですね。ですので、普通、私も金融の道にいたので、業務改善命令というと、本当にかなり重い命令だというふうに思っております。終了したばかりなんですけれども、起きてしまったということでありまして、今後、先ほど事例に出した2つの農協に対しては、業務改善命令の措置がまた図られるかどうかと、この辺をお聞きしたいと思います。
◎
高田幸生 農業政策課長 今、委員御指摘の件につきましては、一度、業務改善命令を出しまして、実は事件が起こるその前に既に起こっていた、その改善の調査の中では発見できなかったということでしたので、当時の対応がもうちょっと深くというか、適正に行われたかどうかも含めて、指導しているところでございます。ただ、先日の事件につきましては、まだ全容解明ができておりませんので、それに対して、農協に対して、全容の解明を進めるよう求め、また指導しているところでございます。
◆中川宏昌 委員 この業務改善命令が出るというのは、非常に重たいことだというふうに思っていまして。特に長野県の農業がここまで発展してきた一つの要因は、この農協の金融があって、これだけ大きくなったと。普通の金融機関とは違うというふうに私は認識をしております。そこが揺らいでこのセーフティネットが崩れると感じたものですから質問をさせていただきました。監督という立場がなければ質問はしないんですけれども、監督という立場の中で、業務改善命令を出しているという立場にある
農政部でありますので、引き続き徹底した指導をぜひお願いしたいと要望させていただきます。
続きまして、原産地呼称管理制度について、何点かお伺いしたいと思います。この原産地呼称管理制度については、制度発足後10年を経過しまして、経済効果は金額的にどのぐらいあったのかということをお聞かせいただきたいと思います。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 これまでに、ワイン、シードル、日本酒、焼酎、米の5品目で、全部で3,491点が認定されてきております。販売額につきましては、一時、集計した時期がありましたけど、現時点でそれぞれの販売額掛ける本数といったものの集計は今のところしてございません。
◆中川宏昌 委員 販売額、集計してないということでありますけれども。それで、
委員会資料の14に第2期信州
農産物マーケティング戦略プランについてとあります。ここの第1期プランの検証による課題の一番下に、参考として信州のオリジナル食材の認知度が掲載されているわけなんですが。この原産地呼称管理制度、10年間の中で、まずは第1期マーケティングプランがあって、今回、第2期のプランがここでつくられるということですけれども。10年あったわけなんですが、認知度を見ますと20.4ということで、10年ですから、既にこの周知を行う期間は過ぎていて、消費行動につながるタイミングじゃないかと思うんですが。それにもかかわらず、10年間で20.4ということで、周知が進んでないように見えますけれども。なぜ認知度アップにつながっていないのかというところをお聞かせいただきたいと思います。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 御指摘の資料14のところで、原産地呼称管理制度20.4%ということで、私どもも制度の認知度の向上に向けて、県として取り組んできているわけでございます。実際に現在も駅前の野村證券のディスプレーのところを使わせていただきまして、制度の認知度を上げるような形の取り組みをしております。県として、基本的に制度を覚えてもらうというような形の中で、「おいしい信州ふーど(風土)」の中のプレミアムに位置づけられますので、今までは個別に原産地呼称管理制度というような形でお話をしてきたんですけれども、「おいしい信州ふーど(風土)」の中のプレミアムの位置づけという形の中で、
皆さんにさらに認知してもらうような形の取り組みを昨年から始めてきております。
それで、なぜここまで上がってきてないのかという部分がございます。私どもも、何とか認知度を上げていくという形の中で、昨年の8月から、原産地呼称管理制度の
皆さんに再度集まっていただいて、専門部会というような形で、一部は受益者負担の問題もあるんですけれども、そういった制度全体の認知度を上げていく、それが販売効果につながっていく、そういった問題にするにはどうしたらいいのかということで、現在の県だけで考えていくのではなくて、いわゆる専門の方、それから蔵元の
皆さん、流通業者の
皆さんにも集まっていただいて、実際にどういった形でやるのが一番制度の認知度が上がり、それが効果に結びついていくかという検討をさせていただきまして、またあしたも第3回の専門部会を開きます。そういった中で、制度の今後のあり方について、さらに詰めていきたいと考えています。
◆中川宏昌 委員 認知度の向上に向けて、これからさらにまた検討していくということでありますが。今後に生かすためにもということで、お聞きしたいと思うんですけれども。この10年あったわけなんですけれども、別に室長を責めているわけでも何でもなくて、冷静に検証していかなければいけないと思うんですが。PDCAサイクルで。冷静にこう検証して、この10年間で20.4%までしかならなかったというのは、この創設時の発信力が弱かったんじゃないかと、このように思うところでございますが、その辺について見解をお聞きしたいと思います。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 創設時の発信力というよりも、やはりこの制度を使って、実際に業者の
皆さんが、販売促進につなげていくということでなければいけないと思います。実際に県が幾らテレビや新聞でPRしてみたところで、その量というのは知れています。やっぱり多くの方を巻き込んで、この商品を使って、ほかとの差別化を図っていくということに利用していただく。そういった形にしていかないと、幾らある部分が頑張っていてもいけないと思いますので、やはりこれからは使っていただく。原産地呼称管理制度を使って商品の差別化を図っていこうという
皆さんを、より仲間をふやして、そういった方々に動いていただくというような形に変えていかないと、制度だけPRしても話はできないかというふうに認識しています。
◆中川宏昌 委員 差別化というお話がありましたけれども。この資料14の先ほどの認知度のところなんですが。ほかの品目を見ますと、「信州サーモン」が69.6、「黄金シャモ」が33.2、「シナノスイート」が76.4、「シナノゴールド」が78.1ということで、例えば原産地呼称管理制度の品目を見ますと、ワイン、お米、日本酒ですね。ワインについては、先週もワイン議連で原産地呼称管理制度のワインを楽しんだところでありますけれども。ワインについては、業界全体が非常にまとまってきて、いい成果が出てきていると思います。一方で日本酒を見たときには、なかなかそういうような状況になりきれてないんじゃないかとこういうふうに思いますけれども。先ほどのほかの一つ一つの品目を見たときに、非常に単品の認知度は上がっているわけですね。先ほど室長も言いましたけれども、原産地呼称管理制度についても、品目ごとに認知度アップをしていかなければいけないと。品目ごとにしっかりマーケティングをしていかなければいけないと思いますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 今、御指摘がありましたように、ワインにつきましては、ここのところ、ワインバレー構想等出てきていまして、確かに原産地呼称管理制度のそもそものスタートの部分がフランスのワインの制度を学んで、それを参考にする中で新しい制度ができ上がってきたということで。現在の制度、ワインにつきましては、それを活用して、新たなワインバレー構想も含めて、展開ができていく見通しがあります。やはり日本酒とか、お米につきましても、それぞれの分野ごとでのPRの仕方というのがあると思いますので、そういったものも専門部会に提起をする中で検討していきたいと思います。
◆中川宏昌 委員 ぜひよろしくお願いします。それで、この20.4という認知度の中で、あと10年経過したという中で、この原産地呼称管理制度については、県の関与については、一定の役割を今まで示してきたので、今後は、先ほども申しましたけれども、業界主導で、例えばワイン業界ならワイン業界、日本酒業界なら日本酒業界という中で、業界ごとでの展開も考えられるんじゃないかと思いますけれども。今後、民間主導でこの原産地呼称管理制度、大きくできないか。こういうふうに考えられないかと思うんですが、この辺について見解をお聞きしたいと思います。
◎赤羽昭彦
農産物マーケティング室長 一番先にスタートのときに、この制度の会長である玉村さんがおっしゃっていることがあるんですけど、基本的にはこれは民間の活動に委ねていく、県はやはりそのスタートのところを担って、制度をつくる中でそれを利用してもらって、うまく民間の方々の利益が上がるようなものになっていかなければいけないということで、目指すところはまさに委員さんおっしゃるところだと思います。
そこのところで、一番、民間の
皆さんが、これをもって長野県の日本酒だ、長野県のワインだというふうに差別化を図って
皆さんに言えるような、そういった形に、今回、専門部会の
皆さんに集まってもらい、それぞれアイデアを出していただいて、PRだとか、事業の進め方、それから一部は受益者負担等も検討いただく中で、そういった自分たちのお金を出す中で、どうやってPRをしていくかという部分も一緒に考えていただくような方向を進めているところでございます。
◆中川宏昌 委員 ありがとうございました。一般のメーカーが、今、使っているこのマーケティング理論なんですけれども、導入期から成長期まであわせて、認知度が16%以上にならないと、もう消費行動は起きなくてその商品は終売時期に入ると、マーケティング理論から見ると、そういうデータがあるんですね。そう考えたときに、原産地呼称管理制度のまだ認知度が20%ということで、いわば今、最も大事なところにあると思います。ここを脱出すれば、またさらにいい方向へ行くんじゃないかと思いますので、鋭意努力をぜひお願いしたいと要望したいと思います。
あと1点だけ。第2期食と
農業農村振興計画についてですが、
TPPの参加についてでありますけれども。望月委員からも質問がありましたけれども、今回の計画の中には、
TPPの参加を想定した事項は、明確には盛り込まれていないように思いますけれども。仮に
TPP参加となった場合には、その状況を勘案して、内容を変更していくかどうかという、この点について、最後、お聞かせください。
◎
高田幸生 農業政策課長 先日、
お答えさせていただいたとおり、まだ諸情勢、それからいろいろなデータが不明でございますけれども、仮に今後の展開によりまして大きく社会情勢が変化をした場合に、かなり激変した場合には、計画をその状況を踏まえて見直すということは、食と
農業農村振興計画の中に書き込ませていただいてございます。
◆堀場秀孝 委員 2つほど伺いたいと思います。一つは、資料4のワイン生産アカデミー事業ということで、予算も予算なんですけれども、ぱっと見たときに、方向として、消費者から見て高級ワイン志向で行かれようとしているのか、安くて、飲むというか、両方なのか、その辺がわかりましたらお願いしたいと思います。
◎北原富裕
園芸畜産課長 ワイン生産アカデミー事業で、私ども、考えておりますのは、資料にお示ししたとおり、最終的には独立したオーナーワイナリーの方々、農地を持ってワインをつくり、生産していくという方々を、地域の中で伸ばしていきたい。そういう方々を核として地域の活性化を進めていきたいというふうに考えております。その中で、実際にワイナリーで起業できてということになりますと、10年くらいは多分かかるんではないかなと思っていますので、新しく入ってこられる方の中で、ブドウ生産のみされる方、またワイン企業等へ就職される方も選択肢としてはあるんではなかろうかと思いますが。基本的には最初に申し上げましたように、今、新しく県内で創業されていらっしゃるようなオーナーワイナリーの方々を育てていきたいということです。
そういう方々のつくられるワインということになりますと、必ずしも高級ということにはならないかもしれませんけれども、やはりこだわりがある、一定程度の価格帯をもって、ワインをきちんと評価し飲んでいただける方々に提供できる価格帯。ですから、あまり安いワインではない、結果としてはなるかもしれませんけれども、そういう価格帯が中心になろうかとはいうふうに考えています。
◆堀場秀孝 委員 消費の感覚として、今、景気がまだ戻らない中で、7,000円、8,000円とかというワインなのか、5,000〜6,000円ぐらいでいくのかというのは、県としては、指導というか、
方向性は示せないと思うんですけど、その辺まで踏み込んだ10年ぐらい先のことを考えた考えというのはあるんでしょうか。
◎北原富裕
園芸畜産課長 副
委員長さんから具体的な金額が出ましたので、それを参考にしますと、今、県内での価格帯、やはりオーナーワイナリーの方でも、白で1,500円から3,000円くらい、赤で3,000円から5,000円くらいが価格帯なのかなというふうに思っております。ですから、それ前後、それぞれのワイナリーの経営方針によろうかと思いますが。そのくらいの価格帯でないと、適正な規模の中での収益確保ということになると、オーナーワイナリーの場合には、瓶詰め本数が少ないので、そのくらいの価格帯になろうかと考えています。一例がありました8,000円とか1万円というようなワインというのは、私どもの想定の中では想定してはおりませんけれども、人によってはあろうかと思います。
○
金子ゆかり 委員長 東日本大震災二周年に当たり、哀悼の意を表し、黙とうを捧げるため、暫時休
憩を宣した。
●休憩時刻 午後2時44分
●再開時刻 午後2時47分
○
金子ゆかり 委員長 再開を宣し、引き続き委員の発言を許可した。
◆堀場秀孝 委員 今、
お答えいただいたんですけれども、価格は県としては、多分、
方向性は示せないと思うんですけれども。やはりこのワインバレーということでいくとすると、ある程度売りの値段から戻ってきて、その耕地面積とか、ブドウの種類とか、いろいろのことがあると思います。今ですと、ワンコインから、先ほどおっしゃったとおり、1,500円、2,000円、3,000円、ピンキリなんですけれども。その辺も含めまして、そこまで立ち入ることはできないかもしれませんけど、10年という流れからすると、
方向性を加味しながら、長野県として独自の、信州ワインバレーという名前がありますので、ぜひ御検討をいただければと思います。
最後に、秦参事におかれましては、東信土地改良事務所から始まりまして、土地改良一筋に取り組んでこられまして、この3月に定年されるというお話を伺っております。振り返られまして、感じたこととか、我々議員とか県民に何か伝えておきたいことがありましたら、御発言を願いたいと思います。
◎秦久昭 参事兼
農地整備課長 大変貴重な時間をありがとうございます。今、御紹介がございましたように、私、昭和50年から38年間、長野県の農業土木の技術職員といたしまして、38年間、農業・農村整備事業に携わってきたわけでございます。若干歴史ということで振り返ってみますと、まず農業土木の歴史ということでございますけれども、起源はどこにあるかということで、これは米づくりが始まった縄文時代とも弥生時代とも言われているわけでございます。そういった中で、特に江戸時代には、新田開発が大変行われたといったことで、それに伴う用水路の開削、またため池の築造などが本格化をしてきた時代であったというふうに思います。特に県内においても、佐久の市川五郎兵衛、あるいは諏訪の坂本養川、安曇の二木勘左衛門と、こういった方々が大規模な用水開発をしたのもちょうどこの時代であったということでございます。
その後、明治に入りまして、明治32年に政府が耕地整理法を制定をいたしまして、その翌年、33年から耕地整理事業が着工されたということでございます。ただこの当時、専門の技術者が大変少なかったという中で、これに携わったのが東京帝国大学の上野英三郎博士であったというふうに伝えられているところでございます。この上野博士が各地で技術指導をするとともに、農業土木技術職員の養成に当たってきて、20年間で約3,000人の技術者を育ててきたと伝えられているわけでございます。余談でございますけれども、上野英三郎博士は、忠犬ハチ公の飼い主であったということで知られている方でもございます。
終戦後、耕地整理法、あるいは整理組合法、こういったものを統合する形で、昭和24年に現在の
土地改良法が制定をされております。ここで初めて国営、あるいは県営事業といったものが法的に位置づけられてきたと。その後、この
土地改良法は、時代の要請に応えながら改定を重ねて現在に至っているわけでございます。
戦後の緊急食料増産の時代には、農業用水を確保するためのかんがい排水事業を中心に、耕地整理、現在の圃場整備、こういったものが行われてまいりまして、その後、日本が高度成長を迎える時代に、
生産性の向上と
農業生産の選択的拡大、これを目指しまして、農業水利施設の整備とともに、圃場整備事業が全県的にも展開をされてまいりました。こういった中で、機械化に対応した生産基盤の整備、まさに水と土の両面での整備が進められてきたわけでございます。
一方で、この高度成長と相まって米余りが生じてきたということでございまして、国においては、当然、改善抑制政策をとり、稲作転換を推進してまいりました。こういった中でございますけれども、この整備された水田は、暗渠排水等を行う中で乾田化されまして、もとより肥沃であった水田でございますので、畑作利用が可能な汎用農地となってきたということで、農業の一大変換点においても対応できる条件が整ってきたところでございます。
その後、構造政策の推進とあわせまして、農村にも目が向けられてきたということで、定住条件の整備が行われ、さらには多面的機能の発揮と環境との調和、こういったものがキーワードになってまいりまして、生態系や景観に配慮した整備が現在も行われているところでございます。現在は、特に過去に整備をされました土地改良施設のストックが耐用年数を迎えてきているということで、更新から長寿命化への取り組みとともに、また先ほども黙祷もございましたが、東日本大震災を経まして、防災・減災への取り組みが強化をされつつあるところでございます。
農業農村整備事業でございますけれども、国の公共事業という位置づけの中でございまして、今回も大変大きな補正予算を計上させていただき、
農業生産基盤、農村整備、防災などに加えまして、地域経済の下支えを行ってきたわけでございますけれども。今後の大きな課題といたしまして、土地改良区等の施設管理者の弱体化が懸念をされているところでございます。現在、県下各地で人・農地プランの策定も進められているところでございますけれども、農業を産業として自立させ定着させるために、大規模化が進んでいく一方で、農業水利施設の維持管理がおろそかにならないよう、地域としてしっかり守っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
今回、国の補正によりまして、今までの抑制から若干の前倒しができたところでございますけれども、長寿命化対策、地域の防災対策など、これからまだ実施をしていかなければならないところは、大変数多くございます。これらにつきまして、早期に着手できるよう引き続き取り組んでいく必要がございます。
明治時代の近代農学の創始者と言われております横井時敬博士の言葉に、「土に立つ者は倒れず、土に活(い)きる者は飢えず、土を護(まも)る者は滅びず」という至言がございます。長野県農業を支えてきたのは、紛れもなく長野県の農業者の
皆さんでございます。私どもはこれからも、しっかりと土の上に立ちまして、長野県農業の発展のために、農家の声に耳を傾け、農業の礎でございます水と土、これを守るために努力をしてまいります。このことは私の後ろに控えている農業土木技術職員全体の総意でもございます。
大変貴重な時間をいただき、ありがとうございました。今後の農業・農村整備にかかる課題等を若干申し上げさせていただきました。今日まで大変多くの方に御支援をいただきました。とりわけ
委員長を初め委員の皆様には、温かな御支援をいただきました。また、適切な御指導を賜りました。大変ありがとうございました。引き続きの御支援を賜りますようお願いを申し上げます。
○
金子ゆかり 委員長 以上で質疑を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕